前編

自らの経験を活かし、起業を支援。

第3回放送

株式会社Dynave 代表取締役

杉守一樹さん

Profile

すぎもり・いつき/1990年10月6日生まれ。2014年 金沢市内の会計事務所に入社し、主に起業、創業融資支援業務に従事。2016年 デジタルマーケティング専門の『株式会社Dynave』を創業。金沢だけでなく首都圏も対象に、SEOやマーケティング支援を行う。2018年度から新規事業としてのウェブアプリケーション、クラウド事業計画書「Scheeme(スキーム)」の開発を行い、第4回日本アントレプレナー大賞にて、マネジメント部門M&Aセンター賞を受賞。
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Tad 今回はですね、間違いなくこれからこの石川県を、いや北陸を引っ張ってくれる、もしかしたら日本を引っ張ってくれる、若くてかっこいいベンチャー企業の社長さんをお招きしています。
原田 これは楽しみです。でもMitaniさんご自身も、若いころはベンチャー企業の社長さんだったと伺っていますけど。
Tad うん、まあ、その辺はおいおい、ということで・・・。、さっそく、今日のゲストをお迎えしたいと思います。『株式会社Dynave(ダイナブ)』代表取締役の杉守一樹さんです。
杉守さんとお会いするのは3回目か4回目になるんですけど、お会いするたびに表情から自信が満ち溢れてきているような感じがします。
最近もコンテストに出られて、いい成績だったんですよね?
杉守 なかなか良い成績でした。
Tad 日本中から注目されるおひとりです。
原田 そうなんですね、お若いのに。
Tad 28歳です。(※オンエア時点)
原田 クラウド事業計画書「Scheeme(スキーム)」の開発を行って、第4回日本アントレプレナー大賞M&Aセンター賞を受賞されたんですよね。
Tad 受賞はいつ頃のことですか?
杉守 2019年4月です。
原田 これはすごい賞なのですか?
杉守 そうですね、まあ、結構良い賞をいただきました(笑)。
Tad ちょっと調べたところ、第4回日本アントレプレナー大賞は1,000社くらいのベンチャー企業が応募されていますが、賞をもらっているのはたった5社だけなんですね。それも日本だけではなく、世界中から応募があったコンテストだそうです。
第4回日本アントレプレナー大賞の授賞式にて。
原田 まさに選ばれし、という賞なんですね。そして『Dynave』という社名ですが、こちらはどういう意味の社名なんでしょうか?
杉守 この『Dynave』という社名は、僕が作った造語で、「ダイナミック」と「クリエイティブ」を掛け合わせた言葉なんです。
Tad ベンチャー企業としての勢いを表すような言葉ですね。最初にされた事業はデジタルマーケティングで、インターネット上の広告戦略ですとか、実際に広告を展開していく具体的な作業ですよね。それから「SEO」。これは「サーチ・エンジン・オプティマイゼーション」の略で、「Google」や「Yahoo!」などの検索エンジンを皆さん使われると思いますが、検索ボックスに文字を入れてエンターキーを押すと、見たい情報が順番に出てきますよね。企業やサービスの運営会社、製品は、なるべくそのリストの上のほうに表示されたいので、そのための戦略的な最適化を行う、そういったご支援もされてきたようなんですね。
原田 やっぱりそういうのは、最適化しないと上の方に上がってこないものなんですか?
杉守 やはり簡単ではないですね。検索で一番上にくるっていうのは、不動産と似たところがあります。駅前で物件を持つのか、離れたところに物件を持つのかで、集客に違いが出ますが、インターネット上でも同じようなことが言えますね。
Tad なるべく徒歩2分くらいのところが上の方に上がってきてほしいですよね。
原田 物件を調べて見に行くのにも限界がありますから、なるべく早く良い物件がヒットして欲しいですよね。
Tad それから、2018年から開発されているウェブアプリケーション「Scheeme」は、会社を創業する人たちにとって便利ということですが、「Scheeme」について少しだけ教えていただいてもいいですか。
杉守 これは事業計画書を、インターネット上で簡単に作ることができるサービスになっています。
事業計画、収支計画、資金繰り表、開業届、見積もりの回収といった、起業時に悩むありとあらゆるポイントを網羅的にサポートできるサービスがすべて機能として備えています。
Tad それはインターネット上のクラウドサービスとして提供され、ウェブブラウザで簡単に使えるサービスなんですね。
原田 事業計画や開業届など、別々に準備するとそれだけ手間がかかるものを、そのアプリだけで済ませることができるということでしょうか?
Tad 私も経験がありますが、やっぱり起業するとなるととても大変な作業で、そもそも何をしたらいいのか分からず途方に暮れてしまいますよね。ビジネスのアイデアがあっても、どうやって会社の形として整えていったらいいのか分からず、すごく悩んでしまうんです。杉守さんも2016年に起業されていますが、ご自身の起業経験とか、あるいは他の企業さんの創業支援をされてきたことで感じた問題や課題、あるいは気づきみたいなものを、そのサービスに活かしているということなのでしょうか。
杉守 そうですね。実際に開業したい人の中には、サラリーマンをしながら開業準備をしていて、時間がなかったり、専門家に聞くのもお金がかかって準備が進まず、結果的に半年ほど開業準備ができなかったという方も多いです。そんな方々に向けて、最短一日で起業の準備ができ、次の日には開業の届けが出せるという、そんなサービスを提供したいと思っています。
『Dynave』が提供する創業融資クラウドサービス「Scheeme(スキーム)」(イメージ)。
Tad まずは2016年に創業されてからの杉守さん自身のご苦労や、これまでどのように事業を推進されてきたのかをお聞きしたいです。
杉守 お客様のデジタルマーケティングの支援をしていく中で、まず自分たち自身がデジタルマーケティングのプロでなくてはいけない、というところからはじめています。僕たちの強みにもなっているのですが、テレアポ営業や飛びこみ営業は一切していません。広告代理店さんにお願いして仕事をいただくということもなく、あくまでお客様自身がインターネットで検索し、僕たちを見つけてもらって仕事をいただくというのが僕たちのスタイルです。
Tad 自分たちの“売り物”をまずそこで体感していただいてから、ということですね。説得力がありますね。
原田 まだお若いのに世界から注目されるホットな方になられましたが、いつ頃からこういうことをやってみたいと思ったのですか?
杉守 18歳くらいで会社をやるって決めて、この10年間ずっとその準備のために走り続けてきました。
原田 18歳のときに「会社をつくるぞ」と思ったきっかけは何だったのでしょうか?
杉守 もともと野球などのスポーツをしていたのですが、体格に恵まれなかったため、どうしてもスポーツだと勝てないことがありました。でもビジネスでなら、ノウハウや知恵、スキルなどで、僕にも勝てる分野があるんじゃないかと考えていました。
僕は一樹という名前なのですが、ずっと「一番になりなさい」と言われて育ってきていまして、一番になれる分野はどこなのかなと考えると、ビジネスがすごく向いているな、と思って。18歳の頃からずっと会計やマーケティングなどを勉強しながら、この10年走ってきました。
Tad そういう風に思って実行することも、なかなか普通の人にはできないことかなと思いますね。ベンチャー企業の社長になってからも、これまで思いもよらなかった苦労とか、18歳のときには想像していなかったようなこともいっぱいあったと思いますが。
杉守 資金繰りや開業の手続きや、そもそも法務局とは何かということなど、わからないことがたくさんありました。実際に仕事を始めてからも、現金が数百円しかないという危機的な状況も何度もありました。辛いこともありましたが、でも負けたくないという気持ちがずっとあって、何とかここまでこれたという感じですね。
Tad 私の尊敬する経営者の方の言葉で「社長さんが諦めなければ会社は続くんだ」と言わわれたことがあるんですが、まさにそういう状況を何度もくぐり抜けてこられたんですね。すごいですね。
原田 そういう経験が、ベンチャーをやりたいっていう人を支援するうえでも役立っているということですね。
杉守 僕らのモチベーションにも繋がっています。自分の経験をもとに、こういうことをしてあげると親切だな、と思えるサービスを心がけています。
Tad 会計事務所勤務時代にも、起業や創業の融資支援業務をされていたということですが、ご自身の体験だけでなく、その当時の支援先の企業も同じように苦労されていたり、悩みを持たれていたりしていたんでしょうか。
杉守 そうですね。
Tad 起業家の方たちにとって、共通する悩みがあるということなんでしょうか。
杉守 起業家の共通の悩みとしては、計画が立てられないことと、一番大きなものはお金の悩み、資金繰りの悩みですね。やはり自己資金や貯金だけではなかなかうまくいきません。ミニマムでスタートしてしまった結果うまくいかない、というケースが多いので、実は先にお金の悩みを解決することが、事業を軌道にのせて存続させるために重要だと思います。
Tad そんな課題を解決するために、クラウドサービスの「Scheeme」を提供したわけですよね。次回、ぜひ詳しくお聞きしたいと思います。
起業家にとって頼れるメンバーが揃った『Dynave』のチーム。

ゲストが選んだ今回の一曲

中島みゆき

「ファイト!」

この曲は、自分の応援ソングみたいな曲です。若くして経営者になって、「君には無理だ」と馬鹿にされたり、批判されたりしたこともいろいろあったんですが、そんなとき、自分自身を奮い立たせるためにこの曲を聴いていました。

トークを終えてAfter talk

Tad 杉守さんは若くて、エネルギッシュでしたよね。
原田 そうですね。でもね、落ち着いていらっしゃるんですよ。どんな問いかけにも笑顔で応対してくださる余裕もあって。
でもお話をお聞きしたら、銀行残高が数百円になったこともあると。
Tad いやもう絶望的な瞬間ですよね。でもそこから本当に頑張って新しいチャレンジをなさっていると。事業においてもSEOやマーケティングの支援、インターネット広告の支援を提供されてきて、軌道にのられているようなんですね。
原田 その影でいろんな悔しい思いをしながら頑張ってきたことがあってこその今なんだな、っていうのを感じましたね。Mitaniさんご自身も気づきや学びがあったんじゃないでしょうか。
Tad やっぱり諦めないっていう気持ちを持ち続けたことが、すごく称賛に値するんじゃないかなと思いました。それからマーケティングの支援という業務をされながら、いろいろな創業者の方々と触れ合ってこられたと思うんですね。ご自身の起業経験も活かしながら、いろいろな方々の実際の創業時のお悩みとか、起業することの得体の知れなさみたいなものを分解して、こういうサービスを作ったらいいんじゃないかと発想されたというお話をお聞きして、ビジネスの基本というのは、もしかすると課題やお悩みごと、お困りごとの解決なのかな、と思わされましたね。
次回は日本中、世界中から注目されるサービス「Scheeme」についてお聞きしていきたいなと思います。

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