前編
人に寄り添う姿勢で仕事探しを支援。
第70回放送
フラップグループ 取締役
高 穂栞さん
Profile
こう・まどか/1981年生まれ。金沢市民芸術村、IT企業、デザイン事務所、フリーランスを経て、2010年、1996年創業の人財総合サービス業『株式会社フラップ(現エキスパート・フラップ株式会社)』に入社。グループ会社に『ウイルフラップ株式会社』がある。SDGs研修講師、SDGs企業導入支援コンサルティングのほか、金沢青年会議所のメンバーとして街づくりの活動にも参加している。
エキスパート・フラップWebサイト
フラップグループWebサイト
Tad | 今回のゲストは『フラップグループ』取締役の高 穂栞さんです。『フラップグループ』で幅広く人材に関するお仕事をされていらっしゃいますが、具体的にはどういった内容になりますでしょうか? |
---|---|
高 | まず『ウイルフラップ株式会社』では「しごとの窓口」として、仕事を探している方のご支援をしています。派遣や有料職業紹介によって皆さんがそれぞれに輝ける場所をご提案し、就業につなげていくというところが一つ。もう一つが『エキスパート・フラップ株式会社』の「研修」です。研修を通じて、すでに企業でご活躍の方々のさらなる生産性向上や、楽しくお仕事ができるようになるためのお手伝いをさせていただいております。 |
原田 | お仕事をしたいという人たちを応援する、そして就業先のみなさんといい関係を作るためのいろいろな調整をなさったり、仕事をされてからのフォローもなさったりするということでしょうか? |
高 | そうですね。 |
Tad | 転職や就職活動する人たちが「お客様」である一方で、彼らの就職先の企業もまた「お客様」だと。 |
高 | そうです。どちらも「お客様」です。 |
Tad | ハローワークなどに通ってご自分で転職活動をする方もいらっしゃると思うのですが、『フラップグループ』のサービスを使うと、どういった違いが生まれるのでしょうか? |
高 | 弊社にご登録いただくと、まず1時間くらいかけてヒアリングをさせていただきます。 |
Tad | 1時間も。 |
高 | はい。今までの経歴、携わったお仕事、家族構成も差し障りのない程度にうかがいます。「お仕事」と「家族」は、切っても切れないものです。 |
原田 | そうですね、働く上で「この時間はちょっと難しい」というのもありますよね。お子さんがいらっしゃるとか。 |
高 | そうですね、親御さんやお子さんの都合など、なるべくその人の働きやすい仕事や就業スタイルをご提案するためにいろいろヒアリングさせていただいて、そのうえで「こういう仕事はいかがですか?」と提案に繋げていくという感じですね。 |
原田 | それだけ丁寧にヒアリングしていただけるなら、自分の気づいていなかった部分にも気づけそうな気がしますよね。 |
Tad | 気づかせてもらえるというか。 |
高 | はい。たとえば、当初は「事務希望」だった方でも、違う職種も行えるのではないかと提案してみたりもします。希望されている職種とは違うけれど「うまく嵌る」というような場合もあります。 |
Tad | 紹介業冥利に尽きる瞬間ですね。 |
高 | そうですね。 |
Tad | 企業のお客様でいうと、どのようなお客様がいらっしゃるのでしょうか? |
---|---|
高 | 製造業やコールセンター、事務、最近だとスーパーマーケットもありますね。 |
原田 | コロナ禍でもスーパーマーケットは人手を求めているのでしょうか? |
高 | むしろ「人を紹介してください」というお声を聞きます。製造業のほうはコロナの影響で止まるところもありましたが、スーパーマーケットのほうは人手が足りないので、絶え間なく人材をご紹介し続けているという感じです。 |
Tad | なるほど。先ほどのお話にありましたが、就業希望される方に家族構成を聞くと、どのようないいことがあるのでしょうか? |
高 | そうですね、こちらがその人の働き方、働きたい時間を加味できるところが一番大きいのかなと思います。いろんな人生を歩まれてきた方が登録にいらっしゃるので、なるべくその人に負担のないような働き方を提案できればと思っています。 |
Tad | たとえば「この方は優秀ですけど、この時間からこの時間までしかダメなんです…」といったような提案とか? |
高 | そんな感じです。「フルタイムはダメなのですが、この時間程度なら大丈夫です、土日もいけます」ですとか。そういった就労スタイルを希望されるお客様の要望を、企業の方にご提案させていただいたりもします。 |
原田 | それはうれしいですよね。企業の方に「自分からそういったことを言ったらわがままかな?」と思っちゃいますよね。 |
Tad | 言い辛い話だったりしますもんね。 |
高 | なるべく働ける可能性を大きくしていく。大きくするお手伝いをする。そんなイメージです。 |
Tad | 一方で研修というのも大きな柱の一つとのことですが、お客様である企業の社員の方に受けてもらう研修を紹介しているということでしょうか? |
高 | そうです。旅館や製造業、販売、接客サービス業や医療関係と、いろんな業種の企業に提供させていただいているのですが、よくあるのが生産性向上やクレーム対応、そのあたりをテーマにした研修が一番多いと思います。加えて3月から4月にかけての新入社員研修でしょうか。 |
Tad | 新入社員向けの研修も担当なさっているのですね。企業ごとにカラーがあったり、「新入社員にはこれを教えたい」といった企業ごとのニーズがあるかと思いますが、その辺はどうやってリサーチしているのですか? |
高 | クライアントとしてご依頼いただいた総務・人事の方や経営者の方に直接お話を聞かせていただいて、クライアントのご要望に合わせてプログラムを組んでいくというのが主なスタイルです。その時に、なるべくその会社の企業理念も研修のスライドに入れるんですね。新入社員ならなおさら、そこを踏まえたうえで研修に入っていく形が多いですね。 |
Tad | 企業側には、研修を外部の団体に手伝ってもらうというのは、具体的にどのようなメリットがあるのですか? |
高 |
社員が現場に出て実際の業務を通じてトレーニングしていく「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」と、現場とは離れた場所での、業務には直接関係ないけれども働く上で必要なスキルアップに関する研修を「OFF-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)」と言いますが、その2つを繰り返していくと、いい具合に社員の皆さんが成長されていくんです。その現場以外での研修の部分、OFF-JTを私たちが担わせていただくということです。 「外で習ったことを中で実践しよう」という時、仕事を進めていくうえでのコミュニケーションのとり方や報告の仕方、新入社員の方が上司に報告する方法、管理職の方が部下から報告を受ける姿勢、そういったことをあまり社内で学ぶ機会はないですよね。 |
原田 | そうですよね、そこは「やりながら覚えなさい」という感じがありますね。 |
高 | その部分をしっかり研修させていただくことで、現場では「なぜそうするのか」理由があるから理解できる、行動が変わってくるということがあるわけです。 |
Tad | たしかに。「あえて教えることなのかな?」と社員の方が思ったりしますもんね。トレーニングや研修の機会を通じて、企業の社員の方たちが実際に成長されていく過程に寄り添っていらっしゃるのですね。 |
高 | そうですね。 |
原田 | 『フラップグループ』は、もともとお母さまが創業されたそうですね。 |
---|---|
高 | 当時はイベント運営を行っておりまして、今とは違う業務内容でした。 |
Tad | イベント運営から研修・採用関連にどのように移行していったのですか? |
高 | わたしが小さい頃、母親はフリーのアナウンサーでして、イベントや結婚式の司会に多数携わっていました。結婚式の司会だと2000組以上にもなって、「土日はいない母親」でした(笑)。そこから個人事務所として仲間たちと事務所を立ち上げて、当時は携帯電話の走りの時期でしたが、ポケベル、PHS、携帯電話がどんどん普及してきたという流れの中で販売促進キャンペーンイベントの司会をやってくれないかという依頼を受けまして。そういった仕事の流れから、イベントの設営から実行までやっていました。そしたら次に、また広告代理店の方から「販売もできませんか?」といったような依頼を受けて、母は人のお役に立つことが大好きなので、「できます」と。そこから派遣が始まっていきました。家電量販店の販売ブースに販売員を派遣したりしていました。 |
Tad | 電気屋さんとかの販売員の方は、『フラップグループ』からの方々だったんだ。 |
高 | そうなんです! |
原田 | そうなんですね!そういった意味では、お母さまがご縁を大切にされていたんですね。 |
Tad | 穂栞さんご本人はお母さまのそういったところを受け継がれているのですか? |
高 | 「人のお役に立ちたい」という精神だと思います。 |
原田 | お母さまの仕事ぶりを見ていらっしゃったでしょうしね。 |
Tad | 入社されるのも自然な流れだったのでしょうか? |
高 | もう10年以上前の話になりますが、自分から入りたいと言って入社したわけではなくて、当時の経営層の方から「(母親の)手伝いしてくれんけ?」とお話をいただいて、実は渋々でした。というのも、その時フリーランスですでに別の仕事をしていたので。 |
Tad | フリーランスで何をされていたのですか? |
高 | デザインです。Webや印刷物のデザインをやっていました。話を受けて「えー!」と驚きました。でも「その時にやっていた仕事はそのまま続けていいから入ってくれ!」と言われて「それならいいかな」と思いました。 |
Tad | 過去のデザイナーの経歴や能力を『フラップグループ』でも発揮されていらっしゃるのですよね? |
高 | そうですね、わたしは主に研修を担当しているのですが、研修のワークシートやスライドは、全部自分で作れますので。 |
Tad | デザイン的にそういった部分が洗練されているというのも、研修の上では大事なんですね。 |
高 | そうですね。対象が小学生でも、大人でも、妙齢のお姉さま方でも、終わった後に「わかりやすかった」と言っていただけるのはすごくありがたいです。 |
Tad | 入社経緯はちょっと渋々だったかもしれませんが、今ではいかがですか? |
高 | どんどん仲間も増えていて、昔は派遣一本だったのですが、就業支援や研修など提供できるサービスが増えていて、最終的に働く人を応援できるというのは、今はすごく楽しいです。 |
ゲストが選んだ今回の一曲
YOASOBI
「夜に駆ける」
「昨年末の紅白(歌合戦)でひと目惚れしました。セットも素敵だったんです。図書館とプロジェクションマッピングが印象的でした。歌声と曲もいいですね。とある番組でこの曲がどのようにして生まれたのかという話をされていて、ますます注目しています」
トークを終えてAfter talk
Tad | 今回はゲストに『フラップグループ』取締役の高 穂栞さんをお迎えしましたけれども、いかがでしたか、原田さん? |
---|---|
原田 | お仕事を探しに来た方にヒアリングを1時間もされるということにまず驚いて、それだけ親身になって相談に乗ってもらえるなら心強いだろうなと感じました。Mitaniさんはいかがでしたか? |
Tad | 「企業は人なり」というほど、人材というのは企業にとって本当に大切なものなんですよね。さらに人材の成長に貢献することによって、企業の成長にも貢献されている。一方で、時には自分自身が見つけられていなかった適性を見つけてあげるというのは、それは原田さんがおっしゃっていたとおり、人に寄り添う姿勢があるからこそできることだと思います。入社当初は「渋々だった」というふうにおっしゃっていましたが、高さんご自身も自分の適性を『フラップグループ』に見つけてもらったのかもしれない、とも思いました。 |