前編

ウェブサイト作りを通して人と人との繋がり方をデザイン。

第82回放送

株式会社ユニークポジション 代表取締役

本造 雅美さん

Profile

ほんぞう まさみ/1969年、石川県小松市生まれ。小松高等学校を卒業後、福井大学工学部建築学科に進学。大学院修了後、1995年、『三谷産業株式会社』入社。建築設備に関わる事業部のIT推進を担当。2006年、『株式会社パークウェーブ』入社。ウェブサイトおよびシステム開発を手がける。2016年、『株式会社ユニークポジション』(石川県金沢市鞍月。システム開発、ウェブサイト開発)を設立。代表取締役に就任。

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Tad 今回のゲストは『株式会社ユニークポジション』代表取締役、本造 雅美さんです。本造さんには本当にお世話になっています。事業内容は、システム開発やウェブサイト制作とのことですが、具体的にはどういったお仕事をされているのでしょうか?
本造 インターネットで何か調べものをする時に、パソコンなりスマートフォンなりでブラウザを利用されていると思いますが、技術的な部分では、その裏側にある「動き」の部分やプログラム、いわゆる仕組みの部分を作りこむということと、ソフトの部分では、どういった表現で見せると伝わるのかを考えたり、実際にそれを発信し続ける方々がどのような形で効果を出していきたいか、どのように操作していきたいのかということを、全部ひっくるめてご提供しています。
Tad 狙いたい効果はウェブサイトごとに違うと思うんですが、それは例えばどういったことがありますか?
本造 例えば、検索をした時に上位にあがってくるようにしたい、ホームページをヒットさせたい、商品の知名度を上げたい、商品を売っていきたい、サイトの中で売り上げを伸ばしたいという方もいらっしゃいますし、お客様と双方向でやり取りをしたい、書き込みができ、コミュニケーションが取れるようにしたいという方など、いろんなご要望に個々に対応しています。
原田 私たちからすると「このウェブサイト、かっこいいな、面白いな」と、そういう目線でしか見たことがないんですが、その裏側の、実際に運用して更新していく部分に対応していらっしゃるということですよね。そういうふうにして作られているんだということを今、知りました。
Tad 「どうやってできているんだろう」というところは、あまりわからないものですよね。
本造 もともと建築設備の仕事をしていまして、建築設備もそうですが、どうやって適正な温度が保たれているかとか、水道の蛇口をひねるとなぜ水が出てくるのかということなんかは、あまり気にせずに生活されていると思いますが、その裏側には準備されているものがそれぞれにあるんです。ホームページについても画面の動きの裏側にちゃんと準備されているものがあって、快適であればあるほど、みなさん意識されないのかなと思います。
Tad お話の中ではコンサルティングの要素もあったかと思いますが、お悩みとか課題をうかがって、それに対して「こういうのがいいんじゃないですか?」とご提案もされているということですよね。
本造 最初にお話しいただくような時は、「こういうウェブサイトを作りたい」、「スマートフォンアプリを作りたい」という表現になるんですが、そこに至った理由があると思うので、知名度を上げたいのか、商品を売りたいのか、同じものを作るにしても目的が違うので、その部分をお聞きして、それを解決するのであればこういった形はどうですかと提案をさせていただくようにしています。
さまざまな資料を使って、Webサイトの内容を決めていく。
Tad ウェブサイトの運用というと、まず何を考えたらいいんでしょうか? 運用って、そもそも何ですか?
本造 例えば、ずっと変わっていないサイトはあまり魅力がないと思いませんか?
原田 最終更新日がもう何年も前っていうのを見ると、「あれ?」って思います。
本造 ウェブサイトは誰かが手をかけて更新していくことが大事で、誰かが動かないと変化は起きません。「誰かが変化を生んでいる」ということが重要だと考えています。「運用」とは、サイトを運営している人たちが、日々みなさんに使っていただけるような有益なものにしていくために一生懸命手をかけていくという作業です。運用があって、それによってサイトが成長して、使っていただく方にも有益なものになっていきます。どのように運用されるのかというのは、意識しているところですね。
Tad 運用の中身と聞いてイメージするのは、いつ、どういうタイミングで更新するか、どういうコンテンツを追加するかということだったり、そこで使われている言葉や写真などをある程度デザインしてあげるということになると思いますが、それって実はすごく難しいことですよね。
本造 使っている時にはあまり意識していない方が多いので、自分がやろうと思った時にそこまで意識が回らないんですよね。負担を減らすために何人かで分担しようとすると、ちょっとした「てにをは」みたいなところでも狂ってしまいます。
Tad キャラクターが出すぎてしまうと同じページなのにちぐはぐだなというような感じになっちゃったりするんですね。
原田 なるほど。ホームページは作っておしまいではなくて、その後の運用に関してのフォローアップもされていらっしゃるんでしょうか?
本造 作った後こそ結果を出していただきたいので、作った後も引き続きどのくらい更新されているかを見せていただいたりもします。例えばイベントをされるのであれば、こういう情報も載せたほうがいいとか、予約が取れるようにするとか、そういうことをお手伝いしたりもします。効果がどのように出ているのかがわかりにくいというのもありますので、こんなふうに測ることができますよ、という話もします。
Tad 『株式会社ユニークポジション』の代表作には、例えばどんなものがありますか?
本造 弊社の代表的な制作となると、『金沢21世紀美術館』のサイトですね。デザインは東京のデザイン会社が担当していますが、後ろで動いているページをコントロールするシステムは弊社で開発したものでして、かなりバリエーションもありますし、ボリュームも非常に多いんですが、スマートフォンで見ても見やすくなっています。それをコントロールするシステムを弊社で開発しました。
Tad パソコンで見てもスマートフォンで見ても、同じようなイメージが伝わるように、ということでしょうか?
本造 パソコンとスマートフォンだとサイズに相当の差がありますが、印刷すると5、6ページにもなるようなページが多いので、それをスマートフォンで見る方も多いですし、そうなった時にただ単に縮小されているのではなくて、レイアウトを変えながら見たいところをポイントで開いて見ていくような作りにしています。
Tad そういうのを美術館のスタッフの方がいちいち制御しようということではないんですよね? システム的に対応してあげていて、美術館のスタッフの人達はあまり意識しないでコンテンツを発信されているという感じですよね。
本造 そうですね。あるルールに従って入力をしていただくと、コントロールされた状態でページが表示されるという仕組みを作っています。
原田 更新しているのは職員の方なんですね。『金沢21世紀美術館』のウェブサイト、私も何度か拝見していますが、すごく素敵ですよね。情報をいろいろと取り出して見ることができて、見たいところをクローズアップできたりもして、すごく見やすいと思います。
Tad 他にはどんなウェブサイトを作られましたか?
本造 オンラインショップで商品が注文できるものだと、『株式会社大和』のオンラインショップも開発させていただきました。あちらはショッピングサイトなんですが、お中元やお歳暮といった、たくさんの方々に贈り物を届けたい時に利用することに特化して作りました。
Tad 普通の通販サイトだと自宅に届けばいいからせいぜい1、2か所の住所が書ければいいという感じですが、お中元やお歳暮だとたくさんの住所を入力する必要がありますね。
本造 一度に25件くらいまでお届け先を入力できるようにしています。
原田 たくさん送りたい場合は、サイトによっては繰り返し戻ってもう一回同じ内容を入力し直さないといけなかったり、使いにくいなと思うサイトもあるんですが、それが一括でバッと入れられて、反映されるならすごく便利ですよね。
Tad それは、お客様から「ECサイトを作りたい」というお題が来て、それに対して「何十件も入力出来るようにしましょう」とご提案されたということですか?
本造 そうです。
Tad 普通にウェブページやアプリを作りたいと思ったりしても、みなさんが考えていることは多分、若干違うでしょうね。
本造 少しずつ違うので、機能をまとめた資料を作らせていただきまして、それを基に弊社の方から「こういった形のものがいいと思います」と、いろいろお聞きした上で説明させていただいております。
Tad なるほど。ではウェブサイトを作ってはみたけど、「なんだかちぐはぐだな」とか、ちょっと機能的に違うんだよなとか、あまり盛り上がってないなとか、そういう方は『株式会社ユニークポジション』に頼めばいいんですね?そこは『株式会社ユニークポジション』で作ったサイトじゃなくても対応していただけるんでしょうか?
本造 もちろんです。
Tad ウェブサイト自体は作っていなくても、運用や裏側のシステムだけも対応していただけるんですね。
本造 そうです。少数ですが、ありますね。「ご相談出来るところがなくなってしまって、でも自分では出来ないので、誰かやっていただけないでしょうか」とか「相談に乗ってもらえないでしょうか」というお話が入ってくるので、一度弊社の方にご連絡いただいて、話をお聞きして対応できるものであれば。
原田 そこまでしてくださるところって、そんなにないんじゃないかなというような気もしますね。駆け込み寺のような?
本造 困っているというお話をお聞きすると、それが自分たちで出来ることだなと思ってしまった時には、すでに「手放せない」と言いますか、やりたくなってしまうところがありまして。
原田 「お力になりたい」という気持ちになるわけですね。
Tad ウェブサイトとしては『金沢21世紀美術館』や『株式会社大和』のオンラインショップという話もありましたが、ジャンル的にこういうものが得意というのはあるんですか?
本造 ある分野に特化しているということではないんですが、結果として、文化的なもの、芸術とか工芸というものを扱っていらっしゃるお客様が多くなっているという状態です。『金沢21世紀美術館』もそうですし、白山市に和太鼓の製造販売をされている会社があるんですが、そちらは和太鼓では日本一なので、つまりは世界一だと思うんですが、そういった企業でしたり。地元の工芸品を集めて販売しているクラフトショップとかもあります。なぜかそういう文化、工芸、芸術関連のところが多く集まってきていますね。レアというかあまりないところかなと思います。
本造さんは仕事で全国各地の美術館に行く機会があり、貴重な経験を通して自分たちができることを考えているそうだ。
Tad 『株式会社ユニークポジション』という社名に込められている想いもあると思うんですが、会社自体もすごくユニークな領域でお仕事をされているのかなというふうに思います。次回はその辺からもお聞きしてみたいと思います。

ゲストが選んだ今回の一曲

プリンセスプリンセス

「19 GROWING UP ~ode to my buddy~」

「大学の頃、サークルでガールズバンドを組みまして、プリンセスプリンセスのコピーをしていたんですが、その時に練習やライブを通して一番自分が歌った曲だったということに気づきまして。自分と繋がっている曲ということで思いつきました」

トークを終えてAfter talk

Tad 今回はゲストに『株式会社ユニークポジション』代表取締役、本造 雅美さんをお迎えしましたけれども、いかがでしたか、原田さん。
原田 これまで特に意識せずにウェブサイトを見ていましたが、見やすいなとか使いやすいなっていうサイトには本造さんがおっしゃるように、ちゃんと仕掛けがあるんだなということがわかりました。
Tad 『株式会社ユニークポジション』が選ばれる理由の一つに「運用」、つまりお客様の社員さんや職員さんがどうやって更新したり、発信するのかをとても重視されているというお話もありました。ウェブサイト制作会社と括られてしまうと、ウェブサイトを作るのが仕事みたいですけど、でもウェブサイト作りを通して、実は人と人との繋がり方をデザインされているんだというのが、今回、大きな気づきになりました。ご経歴の中にありました『三谷産業株式会社』も、今回はさらっとスルーしてしまいましたが、次回は独立されるまでの経緯についてもお聞きしてみたいなと思います。

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