後編
クマテクノ流の会社づくりを目指して。
第61回放送
クマテクノ株式会社 代表取締役社長
今川精三郎さん
Profile
いまかわ・せいさぶろう/1975年、石川県金沢市生まれ。1994年、高校卒業後、『クマテクノ株式会社』(創業は1991年。金沢市法島町。設備業、ビルメンテナンス業。建物の環境衛生、設備管理、建物設備保全、防災業務など)に入社。主任、課長、部長を経て、2010年、35歳で代表取締役に就任。
クマテクノ株式会社Webサイト
Tad | 今回のゲストは前回に引き続き『クマテクノ株式会社』代表取締役社長、今川 精三郎さんです。 |
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原田 | 今川さんは釣りにゴルフにギター、そしてバイクと、ご趣味が幅広いですね。バイクはレースにも出ていらっしゃるという情報がありますが。 |
Tad | へえ、すごいですね。 |
今川 | 大きいバイクは苦手なんですが、ミニバイクって言われる種類で、サーキット場で気晴らしに走っています。 |
Tad | レースって気晴らしに走れるものなんですか?(笑) |
今川 | サンデーレーサー的な感じでエンジョイしています。 |
原田 | 原田:18歳で会社に入られましたが、バイクはその頃から乗っていらっしゃったんですか? |
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今川 | はい。乗っていますね。 |
Tad | バイクいじりなんかもされるんですか。 |
今川 | 大好きですね。 |
Tad | 前回もエンジンを触れる技術者の方のお話がありましたね。 |
今川 | 僕もバイクなり、車なり、とにかく機械が好きなんですね。エンジンが好きなんです。 |
Tad | 前回は『クマテクノ株式会社』が建物のいろんなところのメンテナンス、補修、修繕をして業務領域を幅広く展開していらっしゃるというお話でした。今川さんは社長に就任されてもう10年を超えられたそうですね。これから、会社をどんなふうにしていきたいか、ビジョンをお聞かせいただけますでしょうか? |
今川 | あまりかっこいいビジョンを抱えているわけではないんですが、僕は社員が大好きなので、社員が誇れる会社としてもっと会社らしくして、企画をもって運営する会社にしていきたいなと思っています。 |
Tad | 「会社らしく」という部分を詳しくお聞かせいただけますか? |
今川 | 自分は現場上がりの人間なので場当たり的に判断しがちだったり、あまり計画性がないまま動いてしまったり、会社の理念や評価制度、労使の規定といったいろんなルールが自分の中に入っていない状態だったので、これまでいろんなことをうまく社員に伝えられなかったんです。ですが、これからは僕のカラーでもっとしっかりと会社を運営していきたくて、社員にも周囲の方々に「自分の会社はいい会社なんですよ」って言ってもらえるようにしたいなと思っています。 |
Tad | 会社の制度や人事評価、システマティックなことを会社の中に導入するっていうことですね。 |
今川 | 今までとちょっと違うルールにしていかなければいけないなと考えているところですね。 |
Tad | なるほど。実際に取り組まれていることはありますか? |
今川 | 大きなところでは、当社のような規模で人事評価制度を導入するかどうか、取り組んでいます。役員はもちろん、当然社員とも相談をして、こういうことをしたら給与に反映されるよと明確にすることが今の時代ならではの社員への寄り添い方だなと。 |
Tad | こういうことをすれば、会社としてあなたががんばったということを認めてあげることができるし、認めてあげられれば、ボーナスが多くもらえたりすると。 |
今川 | そうですね。いわゆる数字的な対価が見える部分ですね。何のために働いているのかというと、みなさん生活するために働いているわけです。ただ、どの会社で働くかという点では社員はうちを選んでくれているので、お互いによりよくしていきたいなと思っています。 |
Tad | そうした評価制度の相談をなさった前後では働き方に変化が出るものですか? |
今川 | そうですね。うちの場合は目に見えて変わりました。書類の出るスピードが速くなりましたね。業務の中にいろんな点検作業があるのですが、書類が上がってきて初めて請求できるんです。かつては書類を出すのに2週間かかったこともあったんですが、それぞれの仕様に合わせて提出期日をしっかり設けました。普通の会社だったら常識なのかもしれませんが、うちはなかったんです。そういうようなルールづくりをすると目に見えて書類提出のスピードが上がってきました。各自が勉強して力をつけてくれたなと、僕は結構喜んでいます。 |
原田 | 社員のみなさんは資格取得の目標もあるんですか? |
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今川 | ありますね。資格ありきの仕事ですから。僕自身も数えたことはないですが、おそらく十何個ぐらいはあるでしょうね。 |
Tad | みなさん、どんな資格をお持ちですか? |
今川 | 消防関係、建築関係、空調、貯水槽、環境衛生……多岐に亘ります。 |
Tad | 『クマテクノ株式会社』がお客様からのいろいろなお悩みやご相談にお応えしていくために、社員のみなさんが一つ一つ資格を手にできるぐらいに勉強されると、業態を広げることにもなりますし、お客様のご要望にもたくさんお応えできるようになっていきますよね。 |
原田 | そして、勉強ってけっこう時間がかかりますよね。 |
今川 | 資格を取得するのは本人ですが、会社としては応援しているつもりです。当然、勉強の時間も残業時間として払っています。 |
原田 | そうなんですね。 |
今川 | それを目標に掲げるのであればいいよということで。 |
Tad | 社員のみなさんも、何をがんばれば会社から評価されるのかがわかりやすくなったかもしれませんね。 |
原田 | ところで今川さんのスーツに社章が輝いていますが、これは何のモチーフですか? |
今川 | これはスパナのモチーフですね。 |
原田 | 白いハートマークの下にスパナのデザインですね。どういう意味がありますか? |
今川 | 日々使っている工具としてスパナをモチーフにし、親しみやすさや安心感をハートになぞらえて、僕の友人が僕を思って作ってくれました。 |
原田 | やっぱりそこも人のつながりなんですね。 |
今川 | 当時、作ってほしいとお願いしたら、「作ってもいいけど、ちゃんとお前の理念を出してこい」と結構厳しいことを言われまして、そんなのが僕は苦手で「理念は俺だ」って言い返したりしていたんですが(笑)。そこをいろいろ詰めてくれて作ってくれました。 |
Tad | 一方で最近は会社としても業態が幅広くなったということですが、新事業を始められたそうですね。 |
今川 | エレベーターの保守管理の代理店として正式に動き出しました。 |
Tad | それはお客様からのご要望があって? |
今川 | 代理店契約なので直接施主様とお話しするということはないんですが、メーカーとタイアップして、メーカーの保証のもと「ここなら大丈夫ですよ」という看板をいただいて、一緒にエレベーターの点検をさせていただいております。 |
Tad | メーカー側からすると、会社としての評価制度を含めたシステムがちゃんと整っている会社だというのが信用の一つになったわけですね。 |
今川 | そうであればいいんですけどね。 |
Tad | お客様とだけということではなくて、最近はメーカーともつながりながら、というと、先程のお話にあった「会社らしく」っていうところがお仕事の幅を広げることに生きているということですね。 |
今川 | 建設業の事業登録申請を取得したことも、そういったところからなんですが。 |
原田 | というのは? |
今川 | 電気、消防、配管など諸々の実績の下、建設業の事業登録を申請して取得をしたんです。金額でいうと500万円以上の仕事を正式に受けられますよという看板になります。 |
原田 | そうなんですね。知らないことがたくさんあって勉強になります。ビルってこういうふうに守られているんですね。 |
Tad | まだまだこんなところも実は手が足りていないとか、お客様も気づけていないという領域はあるんでしょうか? |
今川 | 今はコンピュータといろんなことがつながっていますので、それでずいぶん見える化が進んできたと思うんですが、データじゃなくて実物を見ないとわからないっていうことは結構あります。ただ、昔から比べるとずいぶん進化していて、建物を管理するにしても全部コンピュータで一元管理できていますし。異音というのはあまり数字では出ないのですが、それを温度で知ったりもできます。たとえばいつも30℃で動いている機械が50℃になっていたら、「おかしい、見に行きましょう」と動くとか。そういう新しいやり方になっているんじゃないですかね。 |
Tad | 今川さんとしては『クマテクノ株式会社』をそういうこともできる会社にしていきたいと。 |
今川 | はい。 |
原田 | またいろいろと新しい資格や技術も社員のみなさんと一緒に追求していきたいと。 |
今川 | もちろんです。 |
Tad | 社員のみなさんもきっと放送を聞いていらっしゃると思いますが、何かメッセージはありますか? |
今川 | 一生うちの会社で働いてほしいです。それだけですね。 |
原田 | 今はそんなふうに働ける会社は少なくなっていますよね。 |
今川 | 完全に時代に逆行してますよね(笑)。僕、実は全社員の終身雇用が目的なんです。日々ごはんを食べるためにうちを選んでくれて、ここで定年も迎えて、というように頑張ってもらえたら僕は非常に嬉しいですね。当然、頑張ってくれた人たちに「クマテクノに入ってよかった」と言ってもらわなきゃ成立しないですけどね。僕も社員が大好きですし、大事ですし、その思いはずっと曲げていないので、これからもそういうふうにやっていきたいなと思っています。 |
ゲストが選んだ今回の一曲
本田美奈子.
「アメイジング・グレイス」
「『アメイジング・グレイス』はいろんな方が歌っていますが、本田美奈子.さんが歌うこの曲は途中から日本語が入って、これが結構すっと体に入ってくるんです。ものすごくきれいな声で聴き惚れます。落ち着きたい時や何も考えたくない時、元気がほしい時に歌ったり、聴いたりしています」
トークを終えてAfter talk
Tad | 今回はゲストに『クマテクノ株式会社』代表取締役社長、今川 精三郎さんをお迎えしましたが、いかがでしたか。 |
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原田 | 会社のログマークにハートがついていましたよね。そのハートが人を大切になさっている今川さんを象徴しているなと思いました。社員の方であったり、お客様であったりということですが、今川さんのハートが建物の安全や安心も支えているのだなということを感じました。Mitaniさんはいかがですか? |
Tad | 今川さんは「会社の理念は自分自身だ」ということもおっしゃっていましたが、一方で会社の制度や規定などをきちんと仕組み化し、会社らしくして、一人ひとりの成長や努力の方向性をわかりやすくしていったり、不公平感をなくしていったりということにつなげていらっしゃいます。社員のみなさんのことが大好きだとおっしゃっていましたが、それがベースにあれば、『クマテクノ』が会社らしくなっていくというのはドライなビジネス的存在になるということでは決してなく、今川さん流、もしくは『クマテクノ』流の会社らしさを追求していけるのではないかなと感じました。 |