前編

能登の地で個性豊かな貸別荘を運営。

第64回放送

株式会社ナカガワ 代表取締役社長

中川広紀さん

Profile

なかがわ・ひろき/1985年2月、羽咋郡志賀町生まれ。羽咋高校、金沢大学経済学部を卒業され、2007年、三谷産業に入社。営業職を経験後、2012年9月退社。家業を継ぐべく株式会社ナカガワに入社、2014年4月に代表取締役社長就任。株式会社ナカガワは創業1962年。総合ギフト販売、貸別荘、サーティワンアイスアルプラザ鹿島店の運営を行っている。

ハートランドヒルズ in 能登

インタビュー後編はこちら

Tad 原田さん。実は、数か月前に番組にメールが届きまして。読んでいただけますか。
原田 はい、これですね。ラジオネーム藤巻さんからいただいております。「突然のメール、失礼します。毎週楽しく聴いております。「Tad Mitani’s Innovation Now」のゲストですが、株式会社ナカガワの中川社長はいかがでしょう? 運営されている貸別荘の棟数は北陸トップクラスですし、石川県のニッチトップを紹介するという番組のコンセプトにも合うのではないかと思います。以上ご検討宜しくお願い致します」とのことです。
Tad というお便りをいただきまして、今回ゲストとしてお呼びすることになったのですが、少々怪しいなと思うのは、ラジオネーム藤巻さんが関係者っぽいということですよね…。ということで今日のゲストはですね、株式会社ナカガワ代表取締役社長の中川広紀さんです。さっそくですが、ラジオネーム藤巻さんに心当たりはありますか?
中川 そうですね、だいぶある(笑)
Tad 実は僕もちょっと心当たりがあるんですけどね。
原田 え?! Tadさんもあるんですか? なんか不思議な何かを感じますが…? 中川さんご自身はとても爽やかな印象でいらっしゃいます。
中川 いえいえ。
Tad 好青年ですよね。プロフィールにもあるとおり、三谷産業に入社されて、それが最初のキャリアだったということですが…。
原田 な、なんですかこの間は(笑) まずは三谷産業で営業のお仕事をなさっていたということですよね。
中川 そうですね。そこで仕事の基礎を教わりました。今もその経験が仕事に活きてきているなと感じております。
Tad ありがとうございます。おっと思わず素が出てしまいました。
原田 最初に入社した会社は、社会人としてイチから叩き込まれる場であり、そういった意味では非常に大切な期間だったということでしょうか。
中川 5年半ほどお世話になりました。当時は長かったと思っていたのですけれど、振り返るとあっという間で、教わるだけ教わって会社に貢献せずに帰ってしまったなと…。
Tad いやいや、そんなことはないですよ。心配されなくても大丈夫ですよ。
原田 一番印象に残っていることや、今のご自身の基盤になっていることはありますか?
中川 仕事への取り組み方です。仕事中はもちろん、仕事が終わった後ですね、飲みに行った席で教わったことが今でも自分の芯に残っています。こういう時にはどうしようかと考える時には、その時の言葉が礎になっているなと思いますね。
Tad 嬉しいです。なんだか分からないですが、嬉しいです。
中川さんは、株式会社ナカガワで代表取締役社長を務めておられるわけですが、ナカガワは貸別荘が非常にたくさんあるそうですね。何棟あるのですか?
中川 今は、20棟運営させていただいています。
Tad 全部、能登にあるんですか。
中川 はい、能登の志賀町に別荘地がありまして、その中で15棟運営させていただいていいます。隣の七尾市でも5棟運営しております。
Tad すごいですね。北陸のトップクラスだと言われていますが。
中川 元々、貸別荘、つまり宿泊施設をされている方が少ないのかなと思います。民泊や一棟貸しで泊まるスタイルが増えているのですが、その中では多いほうになるかと思います。
貸別荘のなかには木々に囲まれたウッドデッキを設けたものもある。
Tad 貸別荘ってどのような形態なのでしょうか。お客様は市民の方で、予約をして、旅に出て宿泊するということになるのですか?
中川 例えばホテルや旅館など、色々な宿泊業があるんですけれど、基本的には同じです。ただ、うちの場合は、一棟丸ごとをお客様に借り切っていただくという点が違います。それこそ別荘ですので、普段とは違う非日常体験をお楽しみいただきたいと思っています。別荘にはバーベキュー場を設置しておりますので、皆様、仲間同士で来てバーベキューを楽しんで、一泊して、楽しい思い出作りができるような施設となっています。
原田 今、子供たちや仲間が集まると、バーベキューを絶対やろうという雰囲気がありますよね。それが別荘の中に全部、施設として整っているわけですか?
15棟の貸別荘のなかから人数や過ごし方に合わせて選べる。
中川 はい、そうです。
原田 それはいいですね。
Tad 20棟も貸別荘があるとはすごいですね。需要があるということなんですね。
中川 最初から20棟あったわけではないので。少しずつお客様が来てくれるようになり、今に至っているかなという気はしています。
原田 元々、家業でいらっしゃるということですが、中川さんのおじい様が創業されたとお聞きしました。
中川 そうですね。祖父が始めたときは布団屋として創業しました。布団屋を父が継いで、発展的にギフトショップを展開。今でも2店舗運営しておりますが、そのご縁で、別荘を取得することになり、別荘を宿泊施設として貸し出そうということで、今に至っているという形です。
原田 そういう意味では、一見関係のない事業内容に見えても、こういうものをやりたいなという進取の精神というような気持ちがおありだったのでしょうか。お父様もそうなんでしょうかね。
中川 そうですね。僕が帰ってきたときには、すでに、今の状態が揃っていたので、父の話を聞いている限りでは、やはりお客様に喜んでもらいたい一心で、こういうものがあったらいいなと増やしていくうちに、徐々に事業を拡大してきたという形ですね。
Tad 『サーティワンアイスクリーム』のオープンですね。
中川 はい。これも父がよく言うことですが、「能登にないものを作ろう」という精神ですね。サーティワンアイスは当時能登にはなかったので、発売したら、能登市民も嬉しいだろうし、僕たちサイドとしては商売として成り立つだろうということで始めた次第です。
原田 今、貸別荘のパンフレットを拝見していますが、一棟一棟にテーマがあってそれぞれ個性的です。これは、こういう別荘があるといいなという思いで増やしていかれたのですか。
中川 決して、場当たり的という訳ではないのですが、ご縁があって増えているところもあります。別荘ってそれぞれ特徴あるんですよね。建てた方の理想や夢を具現化した建物なので、それぞれの特徴を生かす形でお客様に楽しんでいただこうと思っています。それが結果として一棟一棟に特徴があるね、と言っていただける状態になっているのだと思います。
Tad 「ハートランドヒルズ」というシリーズを展開されているんですけれども、各棟に、「天空の家」などタイトルがついていてどれも気になりますね。「キャンプサイドの家」、「数寄屋造りの家」、「憧れのログハウス」など、各々違う特徴がある別荘だということが想像できます。
原田 どの別荘にも泊まってみたい! 思わせるようなテーマですね。
Tad 最初の一棟目はどういう風に始められたのでしょうか?
中川 僕の幼少期に、これもご縁があって、自社の保有荘として別荘を取得することになりまして。従業員の家族で使ったりとか、知っている人にお貸ししたりしたそれが最初の始まりですね。
原田 そこから、数が増えていったのは、色々なご縁があってですか?
中川 そうですね。一つのきっかけが2007年です。ずっと別荘を2軒を持った状態だったのですが、2007年に3軒目を購入しちゃったんですね。
原田 購入しちゃったんですか(笑)
中川 はい。これは父から聞いた話ですが、僕の叔父、つまり父の兄弟がですね、別荘を買うとか買わないとかいう話があって、結局買わなかったのですが、うちの父が話を取り次いだばかりに、じゃあ自分が買うと言い出しまして。それで3軒目を持つということになり、3軒もあったら、事業としてやっていかないと、となりまして。
原田 知り合いに借りてもらったりするのではなく。
中川 ええ。ということで、本格的に力を入れ出しました。ちょうどインターネットを使うのが当たり前の世の中になったので、ホームページを立ち上げて運営し始めたという形です。
Tad 当時「貸別荘」と検索する人は少なかったでしょうね。
中川 最初はとにかく知っていただくためにオークションで「宿泊料1円から」といったことをやっていました。でも、当時、そのような施設がなかったこともあって、ご宿泊いただくと、口コミで徐々に広がっていった気がします。
Tad 貸別荘って宿泊先の最初の選択肢には入りづらかったかもしれないですね。貸別荘をお客様に利用していただくために、色々な工夫をされたと思うのですが。
原田 ちょうどこの頃、団体旅行から個人旅行へという時代になっていましたし、家族単位で使えて、仲間たちで楽しめるというのはキーワードとしても、ちょうどいいタイミングだったかもしれないですね。
Tad キャンプ場も運営されていますね。
原田 そうなんです。2018年からですね。
Tad キャンプ場も貸別荘も、家族が集いながらも、皆で楽しめる非日常を提供されているんですね。利用者の方からはどんなお声が集まっているのでしょうか。
中川 「ゆっくりできました」ですとか、「自分たちだけの楽しい時間を過ごすことができました」というお声をいただくことが多いですね。
豊かな自然のなかで、家族や友人と思い思いに過ごせる。
原田 特に、今年は家族で過ごす雰囲気が高まりました。貸別荘があってよかったというご家族も多かったのではないでしょうか。
中川 やはりご利用されたお客様からそういうお声を聞くと、本当に、やっていてよかったなと思いますね。
原田 ずいぶん棟数が多いですね。
中川 大体年に一棟ずつぐらいのペースで増えていますね。
原田 それは建てられているものを購入するんですか。それとも、建てることもあるのですか。
中川 ほとんどが建てたものを購入させてもらって、多少リノベーションをして貸別荘に変えて活用していっています。
原田 これからもまだまだ増えていきそうな気配ですね。
中川 お客様のお声を聞くと、こういうものがあると楽しめるんだなということが分かります。やみくもに数を増やそうとは思っていないのですが、色々な需要に応えられるカタチになれば良いなと思いますね。
Tad 具体的にはどういうお声を聞かれているんですか。
中川 今年に関してはご家族でご利用される方が多い傾向にありました。以前は団体のお客様が多くて、最大定員が20人までという大きな別荘が求められましたが、今は個人宅ぐらいの別荘が求められている気がします。
Tad なるほど。時代に合わせて、求められる貸別荘は変化するんですね。

ゲストが選んだ今回の一曲

荒井由実

「ルージュの伝言」

「義理の母が荒井由実さんが好きなので、その曲を選ばせていただきました。実は、先日、子供が生まれまして。妻も上の子供たちも、今、妻の実家の方でお世話になっているので、お母さんに感謝の気持ちを届けたいと思って選曲しました」

トークを終えてAfter talk

Tad 今回のゲストは株式会社ナカガワ代表取締役社長の中川広紀さんをお迎えしました。いかがでしたか原田さん?
原田 やはり社会人としての基礎を学んだ会社がよかったからかもしれませんが、お客様のニーズをとらえて行動するフットワークのよさに感心しましたし、まっすぐな思いがとても素直に伝わっていました。Mitaniさんはいかがでしたか。
Tad ありがとうございます(笑)。貸別荘を始められた経緯に少々驚きました。3軒目を買わないといけない事態になって、おそらく、その時の思いというのは、「いや、大変なことになっちゃった、どうしよう」という状態であったんじゃないかな、という思いでお聞きしていたのですが、時代を捉えて波に乗り、今また、キャンプやアウトドアの人気を受けて、ファミリー別荘の需要の高まりを捉えている形になっていますよね。事業というのはつくづく狙ったものより、目の前にある事態をいただいたご縁として見ることができるかどうかにかかっているなと思いました。中川さんはこれからも、きっとたくさんのご縁をチャンスとして生かしていかれるんだと思うのですが、僕としてはやはり三谷産業さんのOBにはね、どんどん活躍していただけると大変うれしい限りですね。

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