後編

高齢者のライフサポート事業を展開。

第55回放送

キスモ株式会社 代表取締役社長

林 泰三さん

Profile

はやし・たいぞう/1983年、石川県金沢市生まれ。2007年より、参議院議員岡田直樹事務所に勤務。2014年、『キスモ株式会社』(1994年創業。石川県金沢市西泉。車に関わること全般、および高齢者サポート事業を展開)に入社。2020年7月、代表取締役社長に就任。

キスモ株式会社Webサイト

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Tad 今回のゲストは、前回に引き続き、『キスモ株式会社』代表取締役社長、林 泰三さんです。事業内容は、自動車に関わること全般と、高齢者サポート事業ということで、自動車に関わること全般というのは前回お聞きしましたが、高齢者サポート事業については、どのようなことをされていらっしゃるのでしょうか?
2020年4月に立ち上げたんですが、ご高齢の方が施設に入らなければいけない状況になった時に、なかなか自分に合った施設が見つからないということがあります。入居先とうまくマッチングしないという問題があり、それを何とかお助けできないかと、老人ホームの紹介事業を立ち上げたんですね。また、ご家族のいらっしゃらない方の後見人となって、生活のサポートをさせていただこうと思いまして、一般社団法人を作って、弁護士の先生や社労士の方と一緒にお手伝いするといった事業を始めました。
Tad 老人ホームへ入居される方の、施設によって合う、合わないといったマッチングという部分はそんなに違うものなんですか?
施設をお客様といくつか一緒に回るんですね。最初にご希望をうかがって、そのご希望に沿えるようなところの目星をつけて、先方に連絡して、見学させてくださいと。そうやってお客様と一緒にお邪魔して、実際に見ていただいて、この施設ではどういった生活が送れるのかというのを想像してもらって、自分に合ったところを選んでいただく。必ず入れるかというとそれはまたちょっと別なんですが、そこに空きがあれば入っていただくというような形ですね。
原田 なるほど。高齢者サポート事業に関しては、そういうご相談がこれまでの車関連の業務の中であって、それなら、こういうこともやろうか、ということになったんですか?
そうですね、お客様の中でそういったことに困っていらっしゃる方がいまして、お手伝いできないかなというのがきっかけですね。
原田 車とは全く関係なさそうに見える分野ですよね。カーライフのサポートだけでなくといったことですね?
カーライフサポートというのを事業の柱として展開してきましたが、「ライフサポート」に枠を広げてもおもしろいのかなと。
Tad カーライフから、「カー」をとってライフサポートへ。
代々、車屋をさせていただいているので、車はやっぱり生活の一部ですから、カーライフサポートはもちろんやりますが、少し枠を広げて、いろんな方のご相談に乗れたら嬉しいなと。
Tad 原田さん、今、僕は鳥肌が立ってるんですよ。前回、『キスモ』の事業の特徴として、カーメーカー、カーディーラーとは違って、カーメーカーさんの壁を越えて、どの車種、どのメーカーさんからでもお客様の生活実態に合ったものをご提案するというお話がありましたよね。
原田 ええ、そうでした。
Tad それが特徴ですよと。今回の、老人ホームや老健施設入居者のマッチングでは、まさかお客様の見学についていってらっしゃるとは思わなかったんですが、お客様である高齢者の方の生活実態やニーズを汲み取って、まさに自動車販売業でなさっているように、老健施設の壁を越えて、ブランドの壁を越えて、「あなたにとっては、ここがいいですよ」というご提案をする事業なんですね。
本当ですね。
Tad いま気づいたみたいに言わないでくださいよ(笑)。
原田 しかもそこに入られる頃には、もう車は手放した後かもしれないし、でも人生の中のいろんな節目にずっと寄り添っていきたい、しかもそのお客さんにとってのベストな選択をするお手伝いをしたいっていうことなんでしょうね。
Tad なるほどっていう感じがしたんですけども。
僕もなるほどって思いました(笑)。
原田 いま始めたばかりの事業でもあるわけですよね?
そうですね、まだよちよち歩きの事業ですね。
原田 もともと福祉車両のお取り扱いはなさっていらっしゃったんですよね。
そうですね。『キスモ』の名前の由来を前回お話しましたが、サービスとしての奉仕という中に、福祉も含まれていまして、当初から福祉車両を扱えるようにしようというのはあったんです。いまはリフト車や、車いすを自分で載せるような機械ができていますし、そういったものも扱えて直せるように体制を整えて、皆さまに発表しようかなと思って、福祉事業というのを打ち出したんです。
Tad 福祉車両も増えていますよね。
増えていますね。施設も増えていますから、需要は少しずつ伸びてきているかなと思いますね。
同社では福祉車両を取り扱っているほか、必要な時に必要な期間だけレンタルすることもできる。
原田 高齢化社会、いまでは高齢社会とも言われますが、求めている人がどんどん増えていく分野ですよね。
困っている方がいらっしゃる限り、サポートしないといけないかなと思います。
Tad 独居の高齢者の生活サポートというのは、具体的にはどういうことをされるんですか?
身元の引受人や資金の管理というように多岐に渡りますが、もう本当に何でもご相談に乗らせていただきたいなと思っています。家の草むしりであったり、引っ越しであったり、何でもご相談いただければ、サポートさせていただこうという体制ですね。
原田 すごいですね。何から何まで困りごとを引き受けますよというようなスタンスで。
そうですね、もともと会社の事業でもロードサービスでお車の故障や困ったことがあったら駆けつけるという事業をやっていますが、イメージとしてはその延長線上にある感じです。「カー」を外して、ライフレスキュー、ライフサービスとしてというイメージですね。
原田 スタッフの方って大変ですよね。何にでも対応するとなると、新たなスキルを勉強しなければならないですし。
すごく勉強してます。必要な資格も取得していますし、福祉施設もいっぱいありますが、それぞれ用途も全然違いますし、対象にされる方も違いますし、それを覚えるだけでも大変だなって思いました。でもやっぱりご安心いただくためには覚えないと、ちゃんとしたご提案ができないので。
同社の福祉事業「キスモケア」のスタッフは介護分野における高度な教育訓練を受けている。
原田 施設とのつながり作りというのもされていらっしゃるそうですね?
そうです。事業の立ち上げの際は飛び込み営業もしましたが、ちょうどコロナ禍ということもあって、お断りされることもありました。
原田 そうですよね、外部の方が入れないですよね。
それでもみんな頑張ってくれて、いろんな施設とつながりを持つことができました。
原田 お客様の人生の後半、終盤までお付き合いしますという感じですね。
一度いただいたご縁なので、しっかり尽くしたいなという思いはありますね。
Tad 免許を返納したり、車を手放されたりしたら、もうそれでご縁が切れて、さよならっていうことじゃなくて。
そうですね、それだと寂しいので。
Tad お客様と密接に関わっていらっしゃるから「寂しい」という言葉が出るんですね。
お客様のお顔を見るとホッとしますからね。僕の顔はあまり覚えてくださっていなくても、今日はいらっしゃるんだなとか、元気そうなお姿を拝見するとよかったなと思いますよ。いかに信頼関係を築くかというのが一番大切かなって思います。
原田 誠意をもってその方に寄り添うっていう姿勢が大事ですね。
求められたらどこまでも寄り添いたいなと思います。
Tad ところで「え? こんなお仕事?」みたいな事例ってあったりしますか?
そういえばこの間、お仏壇を預かりました。
Tad 「仏壇を預かってくれ」と?
お客様が施設に入られるということで、家の中を空けなければならなくて。
Tad 入居される老健施設があると、ご自宅の周りのお世話などの仕事が広がりますね。ニーズがすごく増えていると思うんですが、現実にはなかなか取り組めなかったり、息子さんや娘さんご夫婦が協力的でなく進まないケースもありますよね。
原田 家族だけで、抱えこんでしまう方もいらっしゃいますよね。
そうですね。そういうのもどんどんアウトソーシングしてしまったほうが、みんな仲良くなれるんだなと思いますよね。
Tad 確かに、それがきっかけで家族が不安になっちゃうということがありそうですね。
原田 家族だけでは限界がありますよね。そこで、手を差しのべていただくことで、家族の心も軽くなったり、負担も軽くなったりしますよね。
Tad なるほど。カーライフサポートから「カー」をとってライフサポート、『キスモ』さんが取り組んでいるその意味がどんどん分かってきました。
本当に何でもご相談いただける会社になればいいなと思っています。
知識と経験を有するスタッフがお客様に寄り添って要望に合う最適な提案を行っている。

ゲストが選んだ今回の一曲

Little Glee Monster

「ECHO」

「ラグビーをやっていたんですが、『ラグビーワールドカップ2019』のテーマソング(NHK)になった曲で、これを聴くとすごく勇気をもらえて、自分が奮い立ちますし、妻もこの曲が好きで、子どももこれを聴くと『ラグビーの歌だね』と盛り上げるので、この曲を選びました」

トークを終えてAfter talk

Tad 今回はゲストに『キスモ株式会社』取締役社長、林 泰三さんをお迎えしましたけれども、いかがでしたか、原田さん。
原田 取り組み始めたばかりという高齢者の方へのサポート事業についてお聞きしましたが、私も介護についていろいろ考える年齢でもあります。どんな困りごとでも相談してほしいというスタンスに、まずすごく驚きました。ご縁が車から始まったものかもしれないですが、そのつながりをずっと大切にしてくださる会社がこの石川県にあるということがすごく嬉しくもあり、頼もしくもあるなと感じました。
Tad まだ鳥肌が立っていますが、『キスモ株式会社』は自動車販売から整備、板金、保険、ロードサービス、カーリース、レンタカーといったような自動車に関わるサービス全般を行う会社、つまり「カーライフサポート企業」だったはずなんですよね。それが、自動車以外も含めた「ライフサポート企業」になる。順当に考えたら、自社の強みというのは、自動車に関わる技術やサービスだと言いたくなるところだと思うんですが、強みは何なんですかという問いに対しての答えは「お客様とご家族の生活自体をよく理解して、いろいろな選択の中からメーカーやサービス提供者の枠を超えて、本当に最適なものを選ぶお手伝いを真横でしてきたこと」だと。だから、売り物が車や自動車関連サービスではなくても、お客様が免許を返納されたり、車を手放されたりする年齢になっても、ずっとつながりを持ち続けられるんだと。これって、すごくイノベーティブな考え方でもあると思うんですよね。コロナ禍での社長交代だそうですが、これからもお父様とも二人三脚で、社会が変化している今、会社に変化を作る新体制に期待し、応援しています。

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